CAN FDフレームのペイロード高速送信は送信時間を減少させる、すなわちバス負荷が低減する。また、大きくなったデータフィールドは、1つのCAN FDフレームだけでデータを分割せず送信出来る。
例えばCAN FDでデータフィールドが5倍の速度で送信されると、5倍のデータ量の場合に通常のCANフレームと時間的にほぼ同じ長さとなる。そのため、CAN FDフレームはバス負荷を上げることなくCANフレームの5倍の情報を送信する事が出来る。
CAN FDの導入は開発プロセスに多くの利点をもたらす:
CAN FDを機能させるには新しいCAN FDコントローラーが必要とされる。これらは下位互換性があり、従来のCANを処理する事も出来る。CANバス上のECUは段階的にCAN FD対応のものと置き換えが出来る。従来のCANコントローラーのECUが少なくとも1台存在する場合、従来のCANが使用されなければならない。
したがって、バス上の全ECUがCAN FDコントローラーにアップグレードされた場合にCAN FDを使用する恩恵を得られると思われる。しかし、これは正しくない。CAN FDが可能なECUだけ、他がパーシャルネットワーキングでスリープしている間に高速通信が出来る。例えば、これによりバス利用中にECUソフトウェアを更新出来る。更新作業は時間がかかるため、特に高いデータレートが有利となる。
CAN FDの他の利点は、新技術を必要としないことである。CANを長年使用してきたことでエンジニアが取得したCAN関連の全ての知識と経験はCAN FDで再利用出来る。これによりCANからCAN FDへのアップグレードのプロセスは、莫大な教育コストや経験の損失無しで達成できる。